2014年6月29日日曜日

公開シンポジウム 「〈情動〉と〈社会的なもの〉の交叉をめぐる人類学的研究」




7月5日(土)に、
AA研を会場として
公開シンポジウムの開催を予定しています。
詳細は下記のとおりです。

私はおそらく、先月別の大学に
寄稿したばかりの紀要論文の延長線上で、
少々お話をすることになると思います。
ご関心のある方は、
どうぞご来場・ご参加ください。

公開シンポジウム
「〈情動 sense, emotion and affect〉と
 〈社会的なもの the social 〉の交叉を
 めぐる人類学的研究」

日時: 2014年7月5日(土) 14:00-19:00
場所: AA研マルチメディアセミナー室(306室)
概要:
   趣旨説明          西井凉子(AA研)
  1 アート・宗教・生成    岡崎彰(一橋大)
  2 身体・エロス        田中雅一(京大)
                                       3 非人間-モノ・技術  床呂郁哉(AA研)
                                      4  場所性―移動と空間  内藤直樹(徳島大)
                                     5  災害・政治・生      真島⼀郎(AA研)
                                     コメント              田崎英明(立教大)
                                                     高木光太郎(青学大)

2014年6月26日木曜日

J・M・クッツェー 『サマータイム、青年時代、少年時代』


たいへんな訳書がこのほど刊行されました。
クッツェーの自伝的三部作を、くぼたのぞみ氏が、優に600ページを超す渾身の訳業で
日本の読書界に一挙、送り届けてくださいました。

J・M・クッツェー 『サマータイム、青年時代、少年時代-辺境からの三つの〈自伝〉』
                          くぼたのぞみ 訳、インスクリプト、2014年6月24日発行。


たしか昨年の秋ごろのことだったと思います。

日本語訳(ハヤカワ文庫)で以前一読したときには、
あまりピンとこなかったクッツェーの『恥辱』にたいする読みが、

西成彦氏の『ターミナルライフ-終末期の風景』(作品社、2011年)に収められた
クッツェー論にふれて一変しました。

これは私にとり、ひとつの事件でした。
死をめぐる文学的想像力が光をあててきた主題群の周囲を、この数年の私は
まさに人類学徒の端くれとして彷徨ってきたともいえるからです。
個体形成論にしても、沖縄反復帰思想にしても……

そしていま、この訳書をつうじて、20世紀南アフリカに生をうけたクッツェーの
いのちそのものに近づく課題と僥倖があたえられました。

死は、そして死と繋がれた生もまた、かつて書き継がれてきたようなスタイルの伝記で
償われてはならず、自伝/反自伝の書き振りをその周囲で見守る生との隣接関係を
つうじてしか生自体として表出しないのではないかという問いが、
個体形成論の軸線のひとつでした。

 本書はきのう、郵送にて御恵存いただいたばかりですが、
 カバー写真の風景に読み手のひとりとして身を投じていくためにも、
 さっそく精読したいと考えています。

 おすすめです。

2014年6月25日水曜日

人はみなフィールドワーカーである


AA研(アジア・アフリカ言語文化研究所)が、
今年で創立50周年を迎えました。

その記念事業の一環として
本日刊行されたこの論集は、
歴史学・言語学・人類学を専攻する現役所員
17人が、「自らの生と重ねあわせ」ながら
自分にとってのフィールドをわかりやすく
説き明かした、フィールドワーク入門書です。
構成は下記のとおりです。

ふるって御愛読のほどを!



西井凉子 編
『人はみなフィールドワーカーである
 -人文学のフィールドワークのすすめ』
 
第1部 フィールドに入る
「私はこうしてフィールドワーカーになった」   西井凉子
「負ける体験としてのフィールドワーク」     中山俊秀
フィールドの風〈1〉「物語を追いかける旅」   星泉
「偶然を飼いならす」                錦田愛子
フィールドの風〈2〉「いのちのフィールドワーク」 真島一郎
「関係を調べることの迷宮」            深澤秀夫


第2部 フィールドワークを支えるもの
「旅するフィールドワーク」             床呂郁哉
フィールドの風〈3〉「偽バナナの誘惑」      石川博樹
「文字からことばへ」                町田和彦
フィールドの風〈4〉 「天女の末裔から聞いた物語に頼って文法を書く」

                             塩原朝子
「ウシを数えてひとを知る」             河合香吏

 
第3部 過去をフィールドワークする
「ペルシア語文書の世界」             近藤信彰
フィールドの風〈5〉「丁稚奉公の勧め」     クリスチャン・ダニエルス
「セネガルにおけるアラビア語資料調査」    苅谷康太
「死言語のフィールドワーク」           荒川慎太郎
フィールドの風〈6〉 「インドで多様な歴史認識に触れる」

                            太田信宏
「「体験」の語りを伝えていくこと」         三尾裕子




2014年6月6日金曜日

『初期社會主義研究』第25号

5年前に会員の端くれとなって以来、
毎号ひそかに愛読してきた
初期社会主義研究会の機関誌
『初期社會主義』最新第25号が発行されました。

グローバリズムと初期社会主義の特集号で、

後藤彰信氏の巻頭論文
「日本アナーキズムにおけるインターナショナリズム」
をはじめ、「そうだったのか!」と読み手に思わせる力作が満載です。

なかでも、数年前に兆民と秋水の翻訳を
フランス読書界に相次いで紹介した
Christine Lévy 氏による仏語論文
"Sakai Toshihiko :  de l'utopie familiale à la guerre des sexes"には、ひとりの読み手として、アレントの
労働概念との連関等、深く考えさせられました。

偶発的な事情から
未発表のまま眠っている拙稿
「力の翻訳-人類学と日本初期社会主義」も
いずれどこかに発表できればと考えています。
ただし、大幅に加筆しなければ…