2019年2月14日木曜日

『ホベルト・ブーレ・マルクスとの対話』

ラテンアメリカ各地をフィールドとしてこられた文化人類学者の荒井芳廣先生が、ブラジルの造景作家ブーレ・マルクスの作品世界に関する重要な訳書を刊行されました。

ジャック・レナール 監修
荒井芳廣 訳
 『ホベルト・ブーレ・マルクスの庭にて』
         春秋社、2018年12月31日発行。

「造園・造景芸術の巨匠ブーレ・マルクス(1909-1994)の思想と偉業をめぐる、論考とインタ ヴューの集成」(本書 帯より)

「[…]ブーレ・マルクスが作業場の準備にかける入念さが、いかなるものであっても、彼は必ずしも予めしっかりと決めたプランを先行させない。それを少しずつ抑制することにより、その場所に自ずと現れるように、生きている自然の植物群に直接に身を浸すのである[…]」(ジャック・レナール、本書所収)

「ブーレ・マルクスの創造体験のなかのラテンアメリカの自然の再現という側面が映し出されているのは、1930年代のブラジル北東部レシーフェでの[…]設計である。設計にあたってリオ・デ・ジャネイロ生まれの彼が発想のもととしたのは、植物学ではなく、この地域で頻発し歴史的伝統となっている千年王国的宗教運動、その最大のものである「カヌードスの乱」を題材としたエウクリデス・ダ・クーニャの『奥地』であった。それはクーニャの小説の舞台となった『奥地』の風景を形づくっている植物群を再現していた」  (本書「訳者解説」より)

荒井先生、端正な訳業の贈り物、ありがとうございました。