2015年6月21日日曜日

『プレザンス・アフリケーヌ』研究 01




期待すべき新しい共同研究プロジェクトが発足しました。

『プレザンス・アフリケーヌ研究-新たな政治=文化学のために』

昨日開催されたその第一回研究会では、研究代表者の中村隆之さんによる、文字通り渾身の口頭発(下記タイトル)がなされました。

「詩の国民性(民族性)とは何か? 脱植民地化期のフランス語圏カリブ・アフリカ知識人における文学の問いをめぐって」

メンバーのひとりとして、自分は何の考察を進めていけばよいのか、大いに考えさせられました。
『プレザンス・アフリケーヌ』誌の運動そのものとは、かぼそい繋がりしか持たないものの、
年来の懸案であったマジェムート・ジョップの社会思想を、このさい思い切って追いかけるべきか…
ただ、これは大仕事になることが目に見えており、まずは1976年までのindexに記載された書誌を
じっくり吟味する作業が必要になるでしょう。じつに気合いが入ります。

2015年6月4日木曜日

小川了 『第一次大戦と西アフリカ』

昨年4月にこのブログでご紹介した小川先生の研究成果が、このたび商業出版物として装いも新たに刊行されました。

小川了
『第一次大戦と西アフリカ-フランスに命を捧げた黒人部隊「セネガル歩兵」』
刀水書房、2015年5月15日。

AA研版(非売品)に大幅な加筆をほどこし、新たな構成のもとに上梓された本書は、日本人研究者による仏領西アフリカ史研究書として、前例のない最高水準の文献といってよいと思います。

「フランス植民地史」の一角に易々と回収されるべきでもなく、アカデミアの「第一次大戦百周年」ブームに煽られることもなく、ただ誠実と正確さ、克明さを旨として綴られた、西アフリカ発の命と血の記憶。