2026年2月16日月曜日

立春末候

 






















 

 

 

かたすみへ掃きよせたわずかな土くれに雑草が芽吹く。なにか声がきこえて、育ててみる。はじめはブタナ salade de porc にみえたが、斯界の教科書『散歩で見かける野の花・野草』(金田一 著)に照らし、これはノボロギクだったかと想像を変えた。わくらば、枯れ葉がいつまでも茎からおちない。讃岐金刀比羅宮百花図の幻が細部に映る。木枯しの昼にも綿毛がいっこう飛ばず、だが気がつけばすべてが飛び去っている。外来種であるばかりに心ない名を与えられるこの驚くべき日々の生を、affect と形容するだけの思考は、おそらく現実を言いあてていない。故・甲斐信枝が、澄んだ眼で記録してきた生のすがたをただ見つめなおすこと。