2017年4月2日日曜日

闇と声

東京外国語大学出版会の広報誌『ピエリア』最新号
(2017年春号)が、発行されました。

今年は、 「見えないものにふれる」というテーマで、特集が組まれています。

わたしは、「闇と声」と題する小文を書いてみました。

最後の一文は、1913年1月のカフカのフェリーツェ宛書翰にある警句のような表現が、以前から心のどこかに引っかかっていたせいで、ふいに訪れたのかもしれません。ドゥルーズのカフカ論で出逢った一句なので、次のフランス語訳でしか知りませんが。
« La nuit n'est pas assez nocturne...»  闇と声

出版会編集長としての短文も、あわせて巻末に記しました。 見えない読者とふれるために

2017年3月30日木曜日

2017年3月15日水曜日

シンポジウム記録 「越境とリミックスの世界文学」

昨年3月8日に参加したシンポジウムの発言記録集がこのほど冊子体で刊行されました。

高頭麻子編
『シンポジウム「越境とリミックスの世界文学」報告書』
 (大辻都・真島一郎・温又柔・沼野恭子・高頭麻子)
日本女子大学文学部・文学研究科、
2017年3月15日発行。

目次
開会挨拶とシンポジウムの趣旨   高頭麻子  2
カリブ作家の「渡りの文学」-マリーズ・コンデを中心に
                      大辻都   6
アフリカに根はあったのか-東アジアの視界から
                      真島一郎 16
境界線上の子ども-日本語圏の〈新しい〉台湾人として                       温又柔  31
時空の越境と〈ユダヤ性〉-ツィプキンとウリツカヤ
                      沼野恭子 43
ディスカッション                    53

シンポジウムのちょうど1年後にあたる先週8日(ロシア2月革命100周年記念日!!) に、上の高頭組メンバー全員で、会食の機会を得ました。「神楽坂の夕べ」の記念写真をFBにあげてくださったみなさま、ありがとうございました。

2017年2月27日月曜日

グラムシ 『革命論集』

グラムシ『革命論集』  文庫版にて新訳刊行!

アントニオ・グラムシ『革命論集』
上村忠男 編訳、講談社学術文庫、
2017年2月10日発行。

「本書は、アントニオ・グラムシが1914年から26年11月8日、前日に成立した国家防衛法違反の容疑で逮捕・収監されるまでの時期、すなわち、社会主義・共産主義革命の実現にむけて宣伝・煽動活動を展開していた時期の主要な論考を選んで訳出したものである」。
            (上村忠男 「編訳者あとがき」より)

日本語への初訳もふくむ57篇の所収テクスト、全600ページ超のボリュームをほこる点でも、獄前期グラムシの決定版といえる一書です。

逮捕1ヵ月前に執筆された「南部問題のいくつかの主題」にくわえ、おなじ1926年のイタリア共産党第3回大会で報告された、トリアッティとの協議執筆による大会テーゼも、本書には収められています。

このブログでもすでに記したかもしれませんが、
獄中記のグラムシについては、上村忠男氏の仕事のうちでも訳書『新編 現代の君主』(1994年、青木書店)や『グラムシ 獄舎の思想』(2005年、青土社)からかねて多くを学んできたところ、獄前期の思想に特化した今回の訳書刊行で、あらためて大きな宿題を上村先生からいただいたように感じています。

2017年2月22日水曜日

レジームとしての「共同体」/「副大統領」

今月になって、下記論文2篇の抜刷をそれぞれ著者から贈っていただきました。いずれも、おおきな枠組でいえばアフリカの政治体制にかかわる考察です。

岩場由利子
  「「共同体」制定過程にみるフランス第五共和制憲法と脱植民地化」『現代史研究』62:1-17、2016年。

鈴木亨尚
  「副大統領をめぐる政治-アフリカを中心として」『亜細亜大学アジア研究所紀要』43:45-131、2017年。

現在ボルドー留学中の岩場さんの論文は、フランス第五共和国が発足した1958年からわずか2年間のみ、フランスがサブサハラ・アフリカの当時の「海外領土」をふくめて規定していた「共同体 Communauté」の概念を制度史のレベルで再考するというきわめて興味深い試みです。 

「援助協力体制の構築を図りながらアフリカ側との関係をより強固なものにしていくフランスと、憲法の隙を突きながら連邦や関税同盟を形成し構成国同士で結束を高めていくアフリカ側の様子は、それぞれ別のベクトルを志向したものである。しかしながら、フランス・アフリカの協議を経て共通分野と独立権を盛り込んで組織化された共同体は、その後の両者の協力体制を前進させたのであり、決して通過点として軽視できる存在ではない」
(同論文、p.15より)

鈴木さんの論文は、 昨年発表されたご論考「大統領の多選制限をめぐる政治-アフリカを中心として」の続編として執筆されたものです。とくに、複数政党制下の「ビッグ・マン」を考察対象としたラリー・ダイアモンドの大統領制論をふまえて、民主主義との関連で「副大統領をめぐる政治」に焦点をあてた示唆に富む比較制度論となっています。事例として言及されているのは、ナイジェリア、ザンビア、マラウイ、赤道ギニア、南スーダン、ブルンジ、南アフリカ、セネガルの8ヵ国です。

岩場さん、鈴木さん、貴重なご研究の成果を、ありがとうございました。