En rêvant son reflet vague dans l'eau du Lac Nemi
黒沢祐人 2021「群蝶化するゴゼイ/ゴゼイ化する群蝶-目取真俊「群蝶の木」における〈群生〉する身体と変形」『社会文学』53:160-173.
「[…]身体部位の接触を矢継ぎ早につなぎ合わせることで、あくまでも人称的な帰属を不明確なままにしながらゴゼイの身体感覚を探る語り[…]ゴゼイの預かり知らぬところで、その〈声〉は義明の生に浸透し[…]「群蝶の木」では、このような、いわば出会いのない出会いとでもいうべき特異な交流が、物語の展開において重要な鍵になっていた[…]同じ場にいながらも決して重なりあうことのない内面世界を生きるもの同士の実践が輻輳化する事態を語る物語[…]ゴゼイの自己実践と義明の行動は、相互理解可能な同一の地平に生じるものではない。だが、明らかに互いの生に浸透している。「出会いのない出会い」とは、このように互いの実践が、あくまでも別々の実践として、しかし時にはその実践を可能とする前提を与え合うというような、共通の目的をもたない偶然の協働を可能にする交錯の謂であった」(pp.164-168)
馬場淳・平田晶子・森昭子・小西公大 編 『萌える人類学者』 東京外国語大学出版会、2021年3月18日発行。
「バンクーバー島の先住民サーニッチ、タール砂漠の楽士団、ケニア中央高地イゲンベの名前、コートディヴォワールの歌姫の声音、海面上昇の危機に直面する南太平洋ツバル、西オーストラリアの日本食、インドネシアの機織り、パプアニューギニア・ファス族の夢……。フィールドで心を奪われた人類学者たちが、 対象への強烈な愛着や情熱に導かれ、「萌えの光景」をつむぎだす」(表紙袖の案内文より)
私も短いエッセイを寄稿させていただきました。
真島一郎 「Never Let Me Go - フィールドノートの余白から」 pp.332-345。
Kurita-san, never let me go please.
世界のおすもうさん、堂々刊行。
敬愛する和田静香さんと金井真紀さんが、一昨年から昨年にかけて「web岩波 たねをまく」に連載してきた名文の数々が、このたび一書として刊行されました。
和田静香 金井真紀 『世界のおすもうさん』岩波書店、2021年3月17日発行。
「世界から集まった少年力士たち、女相撲の大横綱、高校の女子相撲部、スーパーマーケットを切り盛りする力士たち、沖縄角力の猛者、韓国シルムのプロ選手、モンゴル相撲の闘う人類学者… …。相撲を愛するスー女(相撲女子)2人が出会ったのは、生まれた場所も性別も年齢もバラバラ、だけど一途に相撲を愛し、相撲と生きる「おすもうさん」たちだった!」(表紙袖の案内文より)
和田さんが「終わりに」のしょっぱなにギュッと凝縮して放ったつぎの一文に、お二人の/との繋がりをあらためてズドーンと感じました。
「金井真紀さんと池袋で沖縄に連帯するデモを歩いて相撲の本をつくろうと盛り上がってから、私たちは何度か相撲会議を開いた。早朝、国技館前で当日券販売に並ぶ人の列に取材して、その帰り道。「今から会わない?」と誘い、まだ寝起きの金井さんが飛んできてくれたり。杉並区の高円寺から阿佐ヶ谷まで、当時の安倍首相に対する抗議デモを相撲ファンの知人と私が歩いて、帰りに阿佐ヶ谷の立ち飲み屋でワイワイするうちに[…]」
金井さん、はるばる府中キャンパスまで新刊を届けに来てくださって、ありがとうございます。世界のこの難場(なんば)を乗りきったところで、またゴールデン街にぜひお誘いください。