アフリカ経済の動向を正面から見据える
最新の本格的論集が刊行されました。
北川勝彦・高橋基樹 編 『現代アフリカ経済論』
ミネルヴァ書房、2014年10月15日発行。
「ほんの10年前まで、アフリカ経済を見るまなざしは、
この大陸の停滞と周縁化に向けられていた。
しかし近年アフリカの全域で成長率の向上が見られ、
アフリカ経済の変容や豊かな将来性に関心が集まりつつある。
他方で、未だに世界で最も深刻な貧困が残存し、
格差が広がっている。
その意味で、アフリカの姿はこれまでより複雑に
なっているといえるだろう。
そのことを踏まえて、われわれは新しくアフリカ経済を論じるための書物を編むことにした」
(本書冒頭部分より)
アフリカ経済のゆくえを指し示すことばとして、
「成長」と「格差」が、そのつど目まぐるしく交替するかのように併走し、
日本の読書界にもそれぞれの立場からアフリカ入門書が出版されるなか、
アフリカの政治経済研究で第一線の研究者が寄稿した
本書のもつ意味は、きわめて重要に思われます。
狭義の「経済学」に論点を囲い込むことなく、
歴史・経済・社会の多角的な視点をふまえてアフリカ「経済」の動態を解剖するという
本書の方向性も、21世紀のオイコス再考をくわだてる読み手に広く開かれているように感じます。