2014年10月20日月曜日

日本人類学会大会 進化人類学分科会シンポジウム

              



浜松で開催される
第68回日本人類学会大会
進化人類学分科会シンポジウムで
発言させていただくことになりました。

AA研の共同研究成果物として、
人類社会の進化という視点から、これまで

『集団』(京都大学学術出版会、2009年)や

『制度』(京都大学学術出版会、2013年)といった

重要な論集の刊行を主導されてきた
畏るべき同僚、河合香吏さんからお招きを受けました。

シンポジウムの概要は以下の通りです。
必死で勉強してきます!


● 進化人類学分科会シンポジウム
「人類の社会性とその進化-共在様態の構造と非構造」

2014年11月3日(月・祝) 10時10分~12時10分

於 アクトシティ浜松・コングレスセンター

司会・趣旨説明 河合香吏(東京外国語大学AA研)

報告 足立薫(京都産業大学)
      「『接続』の方法-霊長類社会学における非構造」

    曽我亨(弘前大学)
      「人類学的視点から考える新たな他者像」

    内堀基光(放送大学)
      「人類小集団の生成と崩壊」

コメント 坪川桂子(京都大学)
      真島一郎(東京外国語大学AA研)
      諏訪元(東京大学)

討論

2014年10月11日土曜日

『山口昌男 人類学的思考の沃野』

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AA研にかつて在籍されていた山口昌男先生の追悼論集が
このほどようやく刊行の運びとなりました。
お力添えをいただいたみなさまに
この場をかりて心からの感謝を申しあげます。

真島一郎・川村伸秀 編
  『山口昌男 人類学的思考の沃野』 東京外国語大学出版会、507頁、2014年10月20日刊。


内容紹介
学び知ることの愉楽と自由をこよなく愛し、野生の思考と詩学を旺盛に探究しつづけた“知の巨人"
山口昌男の人と思想を豊かに読み解く追悼論集。
追悼シンポジウムの記録、書き下ろしの山口論、山口による単行本未収録論考のほか、
詳細な研究記録、年譜・著作目録、貴重なスケッチ・写真を多数収載。



本書収録の発言・寄稿者 (掲載順・敬称略)
青木保、渡辺公三、真島一郞、落合一泰、栗本英世、船曳建夫、今福龍太、山口ふさ子
ウィリアム・O・ビーマン、ファビオ・ランベッリ、中沢新一、橋本裕之、前田耕作、東ゆみこ
宇波彰、柴田佳子、宮崎恒二、峰岸真琴、青木恵理子、本田洋、佐久間寛、川村伸秀

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2014年10月10日金曜日

AA研創立50周年記念講演シンポジウム




AA研創立50周年記念講演・シンポジウム開催のご案内】

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)は、
本年、創立50周年の節目の年を迎えました。
創立50周年記念事業の一環として、下記の通り1024日(金)に
公開の講演・シンポジウムを開催いたします。
これまでの半世紀の研究活動を振り返るとともに、
これからの半世紀に向けて研究の方向を展望します。
みなさまのご参加を心よりお待ち申しあげております。

講演・シンポジウムには、どなたも無料でご参加いただけます。
参加を希望される方は、
事前にお名前(必須)、お名前のフリガナ(必須)、メールアドレス(必須)、
ご職業、勤務先/学校名を明記したメールを、
下記アドレスまでお送りください。
メールのタイトルには、「AA50周年講演・シンポ参加申込」とご入力ください。
anniv50entry[at]aa-ken.jp (送信する際は、[at]@に変更してください。)
・申し込みは11回とし、複数の申し込みは無効とします。
・申し込みは先着順となります。100名の定員となり次第、締め切りとなります。
・取得した個人情報は、当記念講演・シンポジウム以外の目的で使用することはありません。
・申し込み後、営業日(平日)3日以内に返信メールをお送りします。
返信メールが届かない場合は、申し込みができていない可能性がございますので、
お問い合わせください。

講演・シンポジウムを含むAA研創立50周年記念事業につきまして、
下記サイトもご覧いただければさいわいです。

******************
アジア・アフリカ言語文化研究所創立50周年記念講演・シンポジウム

【日時】2014(平成26)年1024日(金) 13001630
【場所】一橋講堂
【プログラム】
13:0013:10 開会挨拶 三尾裕子 アジア・アフリカ言語文化研究所長
13:1013:50 記念講演 「アジア・アフリカ研究におけるAA研-回顧と展望」 
           石井溥 AA研元所長
13:5014:00 休憩・準備
14:0016:30 シンポジウム
14:0014:20 シンポジウム趣旨説明  太田信宏(AA研准教授)
14:2014:50 中山俊秀(AA研教授)
 「文法とコミュニケーションの怪しい体系性―ありのままの言語研究の挑戦」
14:5015:20 深澤秀夫(AA研教授)
 「マダガスカルの村で〈世界〉をおちこちに読む―人が集まって暮らす景観が語るもの」
15:2015:30 休憩
15:3016:00 黒木英充(AA研教授)
 「シリア内戦の奈落の底から―重層的現実に対する地域研究の挑戦」
16:0016:30 床呂郁哉(AA研准教授)
 「グローバル/ローカルを超えて―東南アジアの海域世界から見た新しい世界のかたち」
16:3016:35 閉会の挨拶 太田信宏(AA研准教授)
※司会 太田信宏(AA研准教授)

シンポジウム趣旨
 アジア・アフリカ言語文化研究所は、アジア・アフリカ地域を対象とした言語学、人類学、歴史学の研究を推進するために1964年に創立されました。研究所には、広大なアジア・アフリカ地域がもつ多様性・多元性を、言語、文化、歴史の側面から解き明かすとともに、それらの学問領域――言語学、人類学、歴史学――の発展にもアジア・アフリカの事例研究を通じて貢献することが期待されていました。1960年代のアジア・アフリカでは植民地支配からの解放が進みましたが、当時は諸地域の個性・多様性を探求することが、普遍性を掲げる諸学問の発展に直結すると信じられた時代でした。
 しかし、50年という時の流れとともに、諸学問の領域においても、アジア・アフリカの現場においても、状況は大きく変わりつつあります。学問の領域では以前より、欧米の「近代」が生み出した価値や知識の体系を「普遍」的なものであるとして、それらに基づいて世界を分別し、秩序付ける一元的な世界認識が批判されるようになっています。また、アジア・アフリカの国々の経済力と政治力が増大するとともに、地域の「固有な」文化や価値観が見直され、それらを主張し擁護する声も高まりつつあります。諸学問の「普遍性」それ自体が揺るがされ、問い直されているとも言えるでしょう。
 その一方で、グローバル化が進展する現在、世界が標準化し均質化し、これまでに人類が世界各地域で育んできた文化的な多様性・多元性が失われつつあるのではないか、という危機感を抱く人々も少なくありません。アジア・アフリカ諸地域の「発展」と一面では結びついたグローバル化が、文化的多様性・多元性の危機とその主張の双方を同時代に生み出しつつあることは皮肉なことです。このような現実をふまえるならば、グローバル化の進展が、世界各地の固有性や多元性を押し潰しているとの認識は、当の固有性や多元性の現実を軽んじていると言えるでしょう。グローバル化を巧みに利用し、したたかに独自の存在として自己を主張している地域や文化も多々存在します。
 現在、均質化・一元化された世界と対置される多元的世界を探求することが求められています。しかしそれは、現実にはない理想を現実化する営為というよりも、既にそこにある現実をいかに認識するのかという問題なのかもしれません。しかし、均質化の現象と一元的論理を疑うことが、多様で多元的で雑然とした「現実」を網羅することで終わってしまうとしたら、それはグローバル化に対抗するどのような構成力をももちえないでしょう。そこを終着点ではなく出発点として、雑多な諸要素の無秩序とも見える集まり、無関係とも見える並存の内に全体性を把握すること―これこそが、均質化された、あるいは一元的な世界に対置されうる多元的世界を探求することの意義ではないでしょうか。多様性と多元性にみちた現実のある意味での渾沌性を確認し、そこから多様性と多元性を内包する全体性をいかに構想してゆくのかに、多元的世界の認識/実現はかかっていると言えるでしょう。
 このシンポジウムでは、現在のAA研の共同研究の中軸を成す四つの基幹研究から選出されたAA研所員が登壇します。それぞれが研究対象とする渾沌とした現場の姿を紹介しながら、全体のあり方を見通す知と認識の可能性を、みなさんと共に考えたいと思います。

【お問い合わせ先】東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
電話番号:042-330-5600


2014年10月6日月曜日

2014年度 文化/社会人類学研究セミナー


AA研人類学系スタッフを中心とした
今年度の「文化/社会人類学研究セミナー」が
おととい10月4日、予定どおり開催されました。

今回のプログラムは下記のものでした。

日時: 2014年10月4日(土) 13時より18時40分
場所: AA研304室 (マルチメディア会議室)

1.13:00-14:30
光成歩 (宗教情報リサーチセンター)
「二元法制社会の形成: 脱植民地期シンガポールの
 イスラム法制」

司会: 河合香吏
コメント: 栗原浩英・床呂郁哉

2.14:40-16:10
モリカイネイ (立命館大学大学院)
「華人キリスト者のネットワーク: 「短期宣教」を
中心とするトランスナショナルな宗教実践について」
司会: 山内由理子
コメント: 西井凉子・真島一郎

3.16:20-17:50
吉本裕子 (横浜市立大学大学院)
「緩やかな協同: アイヌ展示を行う地域博物館と地域コミュニティの関係に着目して」
司会: 佐久間寛
コメント: 栗田博之・深澤秀夫

18:00-18:40  全体討議

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対象地域に固有の研究枠組をこえて、文字どおり
人類への省察=人類学として、さまざまな点を新鮮に学ばせていただきました。

AA研では、毎年ほぼおなじ時期にこの企画を実施しています。
ご関心のある方は、添付の画像をクリック拡大して、次年度ぜひ応募してください。
お待ちしております。
 

2014年10月2日木曜日

西谷修 『アフター・フクシマ・クロニクル』/『破局のプリズム』





































西谷修さんの、対をなす思考の書二冊が、このほど完結しました。

『アフター・フクシマ・クロニクル』 ぷねうま舎、2014年6月20日。
『破局のプリズム - 再生のヴィジョンのために』 ぷねうま舎、2014年9月25日。

両書の関係について、『破局のプリズム』冒頭につぎのような記述があります。

先にまとめた本では、「3・11」という日付で示され、文明史的には福島第一原発事故に
集約されるこのカタストロフィそのものにかかわる考察、言い換えれば破断面の露呈を
前にしての考察をまとめたが、本書にはそれによって破られ、かつ回帰して、破砕片や
粉塵や汚泥を呑み込みながら軋みを立てて噛み砕き表層を均してゆく、持続の諸相に
かかわる考察をまとめた。(同書12ページ)

持続にかかわる日本の内外のこうしたコンテクストを掘り下げるうえで、
西谷さんは、具体的に三つの指標をあげていますが、きわめて重要なそれら指標の
内実と意味については、本書に直接あたってみてください。

「3・11」とその前後に広がる「日本の内外のコンテクスト」 の重要局面が
押し寄せてきたこの時間を、私はずっとセネガルの首都ダカールで生きていました。
 ちょうど20年以上前に、コートディヴォワール西部国境の村でずっと
生きていたあいだに、世界ではベルリンの壁が崩れてソ連邦が消滅し、
日本では「昭和」と「バブル」が終わっていたように。

今回の『破局のプリズム』刊行により、
 私がダカールで暮らしていた二年という時間のほぼ全体について、
西谷さんがその間に感じ、省察されてきた過程を
パラレルに追体験できることになったわけです。

あの日の前後に、世界のべつの場所からおなじ場所を想うことが
どのような意味をもっていたのか。
各人の思考の前途にとり甚だ重要な意味をもつことは分かっていても、
「自分なりの答えを出すには、まだ相当な時間がかかるだろう」と、
これまである意味で「放心状態」を続けてきた課題に、
もはや力ずくでも近づいていかねばならない時が来たように感じています。


西谷さん、中山智香子さん、土佐弘之さんと数年前から分有してきた持続を、
今後も共同研究として続行する覚悟だけは少なくともしておかねばと…。
ひりつくように熱い討議の場など、そう滅多に遭遇できるものではないのだから。