2015年4月26日日曜日

『スポートロジイ』第3号

稲垣正浩先生が主宰されている
21世紀スポーツ文化研究所(ISC・21)の機関誌
『スポートロジイ』最新号がこのほど刊行されました。

『スポートロジイ SPORTOLOGY 第3号』
みやび出版、2015年5月15日発行。

同書では、特集Ⅰとして、
「コートジボアール・ダン族のレスリング」、
特集Ⅱとして「太極拳」が組まれています。
 
25年前、大学院生時代に書いた拙稿
「呪術と精霊のうずまく格闘-コートジボアール・ダン族のレスリング」 をこの機会に再録していただいたうえ、稲垣先生ご自身のコメントまで頂戴するという栄誉に与りました。
拙稿の再録にいたる経緯については、
「時の向こうから」と題する付記のなかで紹介させていただきました。

また、稲垣先生、井野瀬久美惠さんとの
鼎談記録「ポストグローバル社会におけるスポーツ文化を考える-大英帝国・アフリカ・スポーツ」も、今号には併載されています。

3年前にふとしたことから稲垣先生とお遭いして以来、21世紀スポーツ文化研究所の先生方との交流をつうじて、私はダンという自分の真のフィールドにあらためて向き合うこととなりました。コートディヴォワール共和国の政治情勢が、一日でも早く村への帰還をはたせる程度にまで落ち着いてくれればと、ただ祈るばかりです。スポートロジイ最新号の刊行にあわせて昨日開催された研究会「東京五輪2020を考える」終了後の三次会(!)では、河童相撲伝承の専門家&ミュージシャン(ロックンローラー)の竹村匡弥さんと二人きり、午前6時までとことん語り明かしました。竹村さん、いつもありがとう。研究とは、マジで魂(ソウル)の道行きであることを体の芯から実感しました。

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2015年4月10日金曜日

ココア共和国の近代

社会科学の視点に立った
本格的なコートディヴォワール研究書が
このほど刊行されました。待望の一書です。

佐藤章
『ココア共和国の近代
  -コートジボワールの結社史と統合的革命』
          アジア経済研究所、2015年3月23日。

著者の佐藤章さんは、(私の恩師でもある)原口武彦先生との出会いをきっかけに、これまでずっとコートディヴォワール共和国の過去と現在に向きあってこられた、国内最良のコートディヴォワール研究者&ウォッチャーです。
「原口門下の兄弟弟子」という言葉では、ちょっと古すぎるでしょうか…

佐藤さんが発表してこられた数々の単著論文を、私はこれまでにも必要が生ずるたびに、何度もくりかえし精読してきました。精読に値するテクストは、それ自体が精度の高い内容と展望をもつからです。
 
SAA(アフリカ人農業組合)の結成過程といい、
PDCI (コートディヴォワール民主党)の組織化と統治実践といい、そこには西アフリカの一国史を超え出た20世紀国家論(あくまで唯名論的な意味での国家論ないし「国家化」論)の彫琢にむけた可能性が込められています。さらに、そうした過去との対峙を、内戦に逢着してしまったこの国のまさに「現在」と繋げて論じきっているところが、ポスト構造調整期のアフリカないし「世界」をひとつの連動的な場として捉えようとする多くの読者に開かれた、本書の最大の山場になっているように思います。

2015年4月4日土曜日

迷宮への愛を生きる

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東京外国語大学出版会の広報誌『ピエリア』最新号(2015年春号、非売品)が、
例年どおり新入生歓迎のタイミングにあわせ、このほど刊行されました。

本号の特集は 「愛の書物、書物への愛」。  ムムム、愛の特集です。

「迷宮への愛」と題した一文を、私は寄稿しました。
愛というのなら、敬愛する岡谷公二先生、そして関一敏さんに宛てたラブレターでしょうか。