2016年4月5日火曜日

痙攣的なものの現在 / something amazing


東京外国語大学出版会の広報誌『ピエリア』最新号
(2016年春号)が、ことしも新入生の入学にあわせて
刊行されました。

「歴史のことば 現在のことば」というテーマで、特集が組まれています。わたしは、「痙攣的なものの現在」という小文を寄稿しました。出版会編集長としてのご挨拶の一文も、あわせて巻末に記しました。
 痙攣的なものの現在

あれこれの書物から印象に残る一文を引いてくるという求めに沿いながらも、作文の過程で記憶から急によみがえり、最後はそのことについて書いているとさえ錯覚しそうになったのは、母を亡くして二年後の姿といわれるゴスペルシンガー、マーヴェン・レーマの映像でした。
https://www.youtube.com/watch?v=PIQl6ygRqhw
形容しがたい声の力と、ヘッドフォンをたえず直そうとする覚束ない指のはかなさとの乖離と並置。自分のなかではそれが、コートディヴォワールの村でたしかに耳にしたいくつかの声の残響と、通底器のしかたでいつしか繋がれてしまったような気がしています。