2019年7月6日土曜日

香港、どうなってんの?



今週月曜に、学内で下記の企画が実施されました。
緊急開催「香港、どうなってんの?  Urgent talk: What's going on in Hong Kong?」

日時:2019年7月1日(月) 17:50-19:30
場所:東京外国語大学227教室
予約不要・出入自由・入場無料


逃亡犯条例をめぐり揺れる香港。
毎日ニュースで耳にするけど、一体何がどうなっているの?
香港人留学生と香港研究者がわかりやすく説明します! (フライヤー案内文より)
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研究講義棟内の各階エレベーター前には、常時さまざまな研究会、シンポジウム、特別講義などのフライヤーが色とりどり掲示されていますが、そのなかで逆にひときわ目立っていた、モノトーンの一枚。「緊急開催」の文字にまず引きつけられたあと、タイトルにも案内文にも、学生からの強いメッセージが込められているのでは、と直感しました。どれだけ忙しくても出て学ぼう。すぐにそう決めました。ひとつ心配だったのは、会場が227教室という、200人以上を収容できる大きめの教室であること。しかも、週初め平日の夜で、来週から学期末の試験期間に入るというこのタイミング。関係の学生たちが頑張って準備をしたのに、もし会場がガラガラになっていたら。つらい…。

当日の227に時間ぎりぎりで駆けつけ、恐る恐る教室の扉をそっと押してみました。5限も終わった18時前で、みんな部活にバイトにと忙しい日々を送っているはずなのに、なんと教室は学生たちでほぼ満杯。ムンムンです。そして開会。同僚の教員・倉田明子さんが、最初に香港の過去と現在を簡潔的確に説明したあとの壇上は、司会進行役の大学院生1人と、香港出身で現在外大に籍をおいている学部留学生3人だけ。倉田さんは、もうパワポのスクリーン画面を調整したり、タブレット録画の状態をチェックしたりと黒子状態にカンペキ回って、学生によるメッセージ伝達のヘルプ役に徹しています。

香港から留学してきた学友3人が、ひとりひとり現在の香港の社会情勢について、じつに穏やかな口調で、しかし胸の内に秘めた力強いメッセージを会場に届けていきます。香港市民による抗議デモの現状を伝える、数分間の生々しい報道映像がスクリーンに映し出されると、会場の雰囲気はさらに一変したように感じられました。壇上のプレゼンテーションがひととおり終わると、質疑をもとめる司会のひと声に、教室のあちこちからサッと手が挙がります。質問やコメントを述べる学生の所属は、東アジア専攻だけではありませんでした。こちらではポーランド語科の学生が、あちらではアラビア語科の学生が、留学生のメッセージをきちんと受けとめ、自分なりの考えを丁寧に示すことに専念している。私のゼミに所属しているフィリピンや中央アジア専攻の学生の顔もみえます。企画終了時間の19時30分になるまで、途中退室する学生は10人もいませんでした。教室内のやりとりを聴いていて何より感銘をうけたのは、壇上の留学生も、オーディエンスとして駆けつけた学生たちも、全員がおとなの発言者としてふるまい、この明かしえぬ共同体にしずかに集い、そしてしずかに解散していったことです。ここはやはり、都内でも稀有な空間へと開かれた大学で、自分はこんなにもスゴイ学生たちと日々場を同じくしているのだと、今回もまた、掛け値なしに実感したしだいです。

この集会の開催日時として選ばれた「7月1日」は、香港の歴史にとり、いうまでもなく特別な意味をもつ日付。「立法院占拠」の香港発速報にふれたのは、この日帰宅したばかりの21時頃のことでした。

聴き手に分かりやすいメッセージとなることを配慮して、
この日壇上からみごとな日本語で思いを伝えてくれた香港からの留学生のみなさん。
あなたたちのメッセージは、聴衆の若い学友たちにしっかりと届きました。
通い合いの瞬間は、それぞれの日々の果実です。
自分たちの手でみごとな企画を立ててくれて、ほんとうにありがとう。