2017年2月22日水曜日

レジームとしての「共同体」/「副大統領」

今月になって、下記論文2篇の抜刷をそれぞれ著者から贈っていただきました。いずれも、おおきな枠組でいえばアフリカの政治体制にかかわる考察です。

岩場由利子
  「「共同体」制定過程にみるフランス第五共和制憲法と脱植民地化」『現代史研究』62:1-17、2016年。

鈴木亨尚
  「副大統領をめぐる政治-アフリカを中心として」『亜細亜大学アジア研究所紀要』43:45-131、2017年。

現在ボルドー留学中の岩場さんの論文は、フランス第五共和国が発足した1958年からわずか2年間のみ、フランスがサブサハラ・アフリカの当時の「海外領土」をふくめて規定していた「共同体 Communauté」の概念を制度史のレベルで再考するというきわめて興味深い試みです。 

「援助協力体制の構築を図りながらアフリカ側との関係をより強固なものにしていくフランスと、憲法の隙を突きながら連邦や関税同盟を形成し構成国同士で結束を高めていくアフリカ側の様子は、それぞれ別のベクトルを志向したものである。しかしながら、フランス・アフリカの協議を経て共通分野と独立権を盛り込んで組織化された共同体は、その後の両者の協力体制を前進させたのであり、決して通過点として軽視できる存在ではない」
(同論文、p.15より)

鈴木さんの論文は、 昨年発表されたご論考「大統領の多選制限をめぐる政治-アフリカを中心として」の続編として執筆されたものです。とくに、複数政党制下の「ビッグ・マン」を考察対象としたラリー・ダイアモンドの大統領制論をふまえて、民主主義との関連で「副大統領をめぐる政治」に焦点をあてた示唆に富む比較制度論となっています。事例として言及されているのは、ナイジェリア、ザンビア、マラウイ、赤道ギニア、南スーダン、ブルンジ、南アフリカ、セネガルの8ヵ国です。

岩場さん、鈴木さん、貴重なご研究の成果を、ありがとうございました。