2017年7月5日水曜日

松本三之介 『「利己」と他者のはざまで』

5月刊行の論集(本ブログ5月30日記事)所収の拙稿
 「力の翻訳- 人類学と初期社会主義」を一読くださった
以文社の勝股光政社長から、このほど松本三之介先生御新著の恵送に与りました。「何がしかの参考に」との書翰中のおことば、恐れ多いかぎりです。

松本三之介
 『「利己」と他者のはざまで-近代日本における社会進化思想』以文社、2017年6月20日発行。

「社会進化論そのものを明治思想のなかに位置づけること[…]近代日本の社会進化論に内包された思想的可能性を探るという問題意識[…]とくにすべての人間の「生きる」という自然の欲求に基礎づけられた生存権という自然の権利につらなる思想的可能性を見出そうという視点[…]」  
                  (本書「まえがき」pp. xi-xii)

この「生きる」という重大なライトモティーフにとどまらず、各論のなかでもとくに第六章の中江兆民論から七章の徳富蘇峰論、八章の丘浅次郎論にかけては、 拙稿との関わりが強い部分に思えます。とはいえ、なにぶん私は門外漢の人類学徒ゆえ、一から勉強を仕直さなければなりません。本書終章「社会進化論の思想的意味」は、初期社会主義もふくめた全10節の構成を眺めるだに、まさしく圧巻といえる内容です。これら一連の思潮の思想史的意義をいま、人類学の新しい発想に繋げていかなければと考えています。