2018年4月25日水曜日

関根康正 編 『ストリート人類学』

関根康正さんを編者とする大部の論文集が、このほど刊行されました。全762ページ。

関根康正 編 『ストリート人類学 -方法と理論の
      実践的展開』 風響社、2018年2月20日発行。

「[…]死に隣接した極限的状況の中での人間の創発力が、ぎりぎりのストリート・エッジで発現している[…]端的に言うと、ネオリベが主導するような他者を排除した自己中心のメジャーな見方すなわち「ネオリベ的ストリート化」での往路の想像力では見えない、新たなもう一つ別の次元の想像力が確かにある。それは、他者の受容によって起こる自己変容という動的過程においてまさに創発する復路の想像力である。[…]ある文脈で今の自己がその自己限界状況の中で到来する他者に包み込まれるときに、創発が起こる。この「自己が他者化」するという動的過程を、私としては「根源的ストリート化」と呼んで概念化しておきたい。なぜ根源的と形容するのか。それは、現代のネオリベ思潮という歴史拘束的な次元を超えている、より長波の人間の生の在り方を指し示していると思われるからである。[…]人類学は人間が人間として生きるとは何かを問う、もう少し長波の課題を持っている。この時代に巡り会い、ストリート・エッジを彷徨する極限的な人々の生において、自らの生そして人間の生を豊かにする根源的問いに出会っているのだと思っている。[…]」
                                       (本書序章 「ストリート人類学という挑戦」より)