2018年1月18日木曜日

西成彦 『外地巡礼』

西成彦さんの新著が、このほど刊行されました。

西成彦 『外地巡礼 「越境的」日本語文学論』
みすず書房、2018年1月18日発行。

「冷戦の影響がいまでも深く刻みこまれている「東アジア」において「歴史」も「文学史」も何もかもが流動的、そして進行形である。そして、それがまさに「進行形」であることを最もはっきりと示しているのが各「語圏文学」のまさに周縁に位置している「マージナルな文学」なのである。
 旧来の「日本文学」がどこまでも「定住民の文学」でしかありえなかったなかに、今日の「日本語文学」という広域的な人間の移動を背景にした「移動民の文学」を先取りするようなさまざまな様態がすでに刻みこまれていたということ[…]リービ英雄や楊逸や温又柔らの華々しい登場は、けっして「現代」にのみ特徴的なものではないというのが私なりの見立てで、こうした「日本語文学史」の書きかえの試みは端緒についたばかりだ[…]」
  (本書所収論文「日本語文学の拡散、収縮、離散」の後注より)